木綿布団に使われている綿について
日本の暮らしの中で長く親しまれてきた木綿布団。吸湿性や保温性に優れ、自然素材ならではのやさしい使い心地が特徴です。実はこの木綿布団に使われている「綿」は、掛け布団と敷き布団で種類が異なることをご存じでしょうか。
布団は、掛けるものと敷くもので求められる役割が大きく違います。そのため、それぞれの用途に最も適した綿が選ばれているのです。掛け布団と敷き布団に使われる綿の違いと、その理由について詳しく見ていきましょう。
掛け布団に使われる綿
アメリカ綿(メキシコ綿)
掛け布団に使われる代表的な綿が、アメリカ綿(メキシコ綿)です。この綿の最大の特徴は、繊維が長く、しなやかで柔らかいことです。
繊維が長い綿は、空気をたっぷり含みやすいため、ふんわりとした軽さが生まれます。その結果、体に自然に沿うようにフィットし、寝返りを打っても体をやさしく包み込んでくれます。また、軽いため体への負担が少なく、長時間掛けていても疲れにくいのも魅力です。
さらに、肌触りがとてもソフトで、直接肌に触れてもチクチクしにくい点も、掛け布団に適している理由の一つです。保温性と通気性のバランスも良く、季節を問わず快適に使える素材として重宝されています。
敷き布団に使われる綿
インド綿
敷き布団に使われる代表的な綿が、インド綿です。インド綿は、繊維が比較的短く、コシと弾力性に優れているという特徴があります。
敷き布団には、体をしっかり支える役割が求められます。柔らかすぎると体が沈み込み、寝姿勢が崩れてしまうため、ある程度の硬さと反発力が必要です。インド綿は繊維が絡み合いやすく、押しても戻ろうとする力が強いため、体重をしっかり受け止めてくれます。
また、使い続けてもへたりにくく、打ち直しをすることで長く使える点も、敷き布団に向いている理由です。昔ながらの木綿敷き布団が重さと安定感を持っているのは、このインド綿の特性によるものです。
用途に合った綿選びの大切さ
このように、木綿布団は「どの綿を使うか」によって、寝心地が大きく変わります。
・軽くてやさしく体を包む 掛け布団 には、繊維の長いアメリカ綿(メキシコ綿)
・体を支え、安定した寝姿勢を保つ 敷き布団 には、弾力のあるインド綿
それぞれの特性を生かして使い分けることで、より快適な睡眠環境が整います。
木綿布団は、見た目は似ていても中身は用途ごとに工夫されています。こうした素材の違いを知ることで、布団選びがより楽しくなります。



























