“最適な睡眠”とは?100冊読んでわかった快眠の考え方

お店に来店するお客様から、
「最近うまく眠れないから、まくらを変えた方がいいの?」「よく眠れるふとんをください」といった声をいただきます。もちろん快眠に寝具は欠かせませんが、自分の睡眠を見直すことも、良い眠りはためには欠かせません。
快眠本には「理想の睡眠時間は8時間」「できるビジネスマンは5時間睡眠をしている」「10時間睡眠で心もカラダも元気に」など本によって最適な睡眠時間が違います。
しかしどの本にも共通していることがあります。それは「あなたの睡眠の悩みを解決したい」です。
今回は100冊以上の睡眠関連本を読んだ僕が、いろんな快眠本の中から、睡眠に悩んでいる方に少しでも、アドバイスや快眠のために考え方を伝えます。

最適な睡眠時間とは?


厚生労働省から出ている『健康づくりのための睡眠 2023』の中で、小学生は9~12時間。中学・高校生は8~10時間。成人は個人差があるが、6時間以上を目安に。高齢者は健康リスクを考え、床上時間が8時間以上にならないことを、目安にする。と書いてあります。
昔は、8時間睡眠が最も理想と言われていましたが、最近では個人の体質や生活環境などで、適切な睡眠時間は、人によって大きく異なるという考えが主流になってきました。という考えができてきました。そのため快眠方法の一歩目として、”睡眠のリズムを整えよう”。これも多くの快眠本に書かれている言葉です。
厚生労働省が目安としている時間も、生活リズムが崩したり、昼夜逆転し休み明け、学校や仕事が眠くてつらいなどの悩みを抱えた人に「まずは睡眠時間を参考に、生活リズムを整えてみましょう」という考え方の1つです。

なぜ、うまく眠れないのか?


24時間社会と呼ばれる現代では、パソコンやスマホの他にも、音や光などが睡眠を妨げる原因として様々な理由があります。
最近では「光害(ひかりがい)」と呼ばれる本来の光を、人工照明が奪っていく弊害が問題になっています。夜にブルーライトなどの光を浴びることにより、脳が覚醒し睡眠の妨げになります。
逆に朝の光(特に自然光)を浴びると、体内時計がリセットされるので、生活リズムを整えられます。
また音も睡眠を阻害する原因になります。世界保健機関(WHO)が、寝室の騒音基準を最大音量45デシベル以下、平均音量30デシベル以下となるよう推奨しています。静かな公園で35デシベルほどの大きさになります。しかし、音は比較的順応しやすく、特に常に聞こえるノイズ(我が家だと、食器洗浄機の音や車の走行音など)はすぐに慣れてしまいます。
ストレスが要因になっていることがあります。日常生活の中で感じるストレスもありますが、睡眠もストレスになっている事があります
例えば眠くないけど明日もあるから、とりあえず布団に入る。でも眠れない。夜中に目が覚めた。少ししか眠れていない。もっと眠らないと。こういったことがストレスになり、眠れない状態を作っていき「今日も眠れていない」と感じるようになります。
こうした状態が続くと、「また眠れないのでは」と夜が不安になり、さらに眠りにくくなる悪循環が生まれてしまいます。そして不眠症が形成されていきます。

逆説志向


逆説志向は心理学的な認知行動療法の1つです。簡単に言うと、そうしようそうしようと思うとむしろそれができないということから、逆方向の努力をするものです。
眠ろうとする努力をやめる具体的な方法を2つ示します。ともに認知行動療法のコリン・エスピー氏が説明する方法です。
眠る努力をやめる
・発想の転換
・不眠であることを気にしないようにする。
・眠れずベッドから出ることをむしろ愉しみとする。
・自分が不眠症だと受け入れる。
・眠れなかったらどんな悪いことが起こるのかを考え、結局それが大げさに考えすぎだと知る。
・眠れないことを災難だと考えず、その時間を楽しめる時間とする。

逆説志向
・なるべく起きていられるようにする。
・ベッドに横になり、部屋を暗くして目を開けたままにする。
・眠ろうとする努力を放棄する。
・眠れないことへの心配を放棄する。
・もし目を閉じたくなってきたら、「もう少し起きていよう。眠るときには自然に眠れるのだから」と自問する。
・意図的に起きているようにする必要はありませんが、眠りに落ちようとすることから考えを移すことができれば、自然と眠りにつくことがわかる。
このように逆説志向は、単独で行うより、他の方法と併用することで自然な睡眠への導入に導きやすいと考えられています。

快眠のためのルーティン


良い眠りのために「ナイトルーティン(入眠儀式)」をしましょうや、生活リズムを整えましょう。でも何をすれば良いか分からない。それもそのはず。なぜなら、「万人に有効な入眠儀式(ナイトルーティン)はない」からです。
では何をすれば良いのでしょうか。ナイトルーティン(入眠儀式)は、人の数だけあります。ただし「避けたほうがよいこと」は共通しています。それは、交感神経が優位になり、体が活動モードになってしまう行動です。
交感神経は日中に活動するための神経です。交感神経が優位に働くと、血管が収縮して心拍数が上昇、心と体が活動的になります。睡眠前や夜間は副交感神経が優位に働くようにしましょう。
副交感神経が優位に働くと心と体をリラックスさせてくれます。副交感神経を優位にさせるためには、入浴後はストレッチやヨガなどの激しくない運動やクラシック音楽や内容が難しく過激でない本を読む。などを寝室外または布団やベッドの外で行い。ウトウトし始めたら布団の中に入るようにする。なるべく心や体にストレスをかけないようにする事が、快眠への第一歩です。
ネットや本に書かれていることを全て実践する必要はありません。その中から自分の生活リズムに合った方法を見つけて、無理のない範囲で行うことが大切です。

 

参考書籍


内田直著『小説みたいに楽しく読める睡眠医学講義』株式会社羊土社 2025
福田一彦著『そもそも「よい眠り」とは何か―努力によらない睡眠改善のヒント』株式会社大修館書店 2024

記事を書いた人


水谷祐介:睡眠健康指導士(初級)/睡眠栄養アドバイザー/オーガニックコットン販売士ほか
福祉系大学卒業後。パチンコ店員・コンビニ店長・ナイトサウナ店長を経て、家業の布団屋に。
2年間で約100冊の睡眠・寝具関連の本を読み現在も継続中。積読にならないよう気をつけています。

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